2018年7月4日


本会のブログを通して、新活動を紹介させて頂きます。



1.「本会の設立趣意書」
2018年現在、日本は超少子高齢社会にあり、年少人口は13%台、高齢化率28%台です。このように、将来の日本の家庭、企業、地域の核となる子ども・青少年世代がさらに減少し、逆に社会の第一線を退いた高齢者層の人口がさらに増加することが確実となっています。高齢者層でも、後期高齢者・超高齢者層の増加が著しく、自立度の低い虚弱者・要介護者が増えています。彼らの保健・医療・介護を支える担い手としての成人期の世代が減少している現代において、団塊の世代に代表される心身ともに元気な前期高齢者層の知識・技能・社会的問題解決能力を糧として、子どもの教育や子育て世代の養育支援者として、また社会の第一線の労働力を補う補助者としての役割を担ってもらうための動機づけを高め、社会のために発揮できる自己資源の力を回復させる地域福祉・教育活動を行うことが必要であると考えています。
そのために私たちは、ライフサイクルの視点から、人の一生を未成年期=成長の時期、成人期=生産の時期、高齢期=持続の時期の3つの発達期として捉え、各時期に起こる生活課題の解決に向けて、前期高齢者等の力を集結し、保健と福祉と心理の視点から支援していくことといたしました。
  第一期の未成年期の人に対しては、子育て・子育ちの中で生じる親子の間に見られる課題解決を支援する子育て・子育ち支援事業を行います。
第二期の成人期では、個人の分別と選択の結果として、多様な生き方が可能となる一方で、一時的に人生の道標を 見失い、生き方の選択に迷う人も多いため、そのような人、殊に成人期の発達障害者や高齢化に伴う生活適応に資する成人者支援事業を行います。
第三期の高齢期は、人々の心身の能力やエネルギーは、成人期に比べても個人差が大きく、それらの維持と持続を前提として、安定・安心の生活を志向する時期であるため、彼らの生活の安寧に資する高齢者支援事業を行います。
また、上記の各世代が有機的に交流し、お互いを理解し合うための異世代間の交流を支援する異世代間交流支援事業を行います。さらには、高齢期における認知症の予防を促進すべく認知症予防心理士を育成し、認知症予防等について研究を行い、認知症予防等について普及啓発を行う認知症予防支援事業を展開してまいります。

  このような活動が定着することで、各世代の支援が充実するのみならず、各世代の協調行動を活発化することになります。このような事業を展開することによって、政府が推進している喫緊の課題である地域包括ケアシステムの構築と定着化に寄与してまいります。ひいては、どの世代も安心して暮らせる社会の実現に貢献してまいりたいと考えております。
 これらの活動には行政や一般企業からの支援、一般市民の皆様のご参加・ご支援が不可欠です。そして今後更なるご賛同・ご支援を頂くには、より公益性および信頼性の高い法人格の取得が必要と考え、この度、特定非営利活動法人を設立することと致しました。
皆様のご理解とご協力を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

2.「本法人の概要」
本法人は、広く一般市民に対して、人の一生を未成年期=成長の時期、成人期=生産の時期、高齢期=持続の時期の3つの発達期と捉え、各時期に起こる生活課題の解決に向けて、保健と福祉と心理の視点から、子育て・子育ちを支援する事業、成人者を支援する事業、高齢者を支援する事業、異世代の交流を支援する事業。認知症予防の活動を支援する事業を行い、どの世代も安心して暮らせる社会の実現に貢献することを目的としています。
 本会の名称は、特定非営利活動法人子どもとシニアのこころ支援の会と称します。平成30年2月27日付けで特定非営利活動促進法第10条第1項の認証を受けるべく、神奈川県知事に申請しました。そして平成30年5月22日に認証され、さらに平成30年6月14日づけで、法務局に認証設立の手続きを行い、6.19に国税庁から法人登録証が送られてきました。本法人は、企画から一年余の期間を経て、そして多くの関係者の理解と協力を得て、ようやく誕生した新生児です。大事に育てて行きたいと思います。読者の方々のご支援と会員としてのご参加をお願い致します。
 各事業分野を主導する理事は、総計13名、監事1名です。
本会の代表理事・会長は、谷口幸一氏、副代表理事・副会長は青木紀久代氏です。子どもの生活支援事業に主に関わる理事は4名、成人者の生活支援事業に主に関わ理事は5名、シニア・高齢者の生活支援事業に主に関わる理事は4名の構成です。スタッフは、各分野の専門職者で、実践家や大学の教師陣から構成されています。

3. 「事業内容」 
)事業活動方針
本会では、「子育て・子育ち支援事業」、「成人者支援事業」、「高齢者支援事業」、「異世代間交流支援事業」、「認知症予防支援事業」を行います。

(1)「子どもに関する活動」
[子育て・子育ち支援事業]  
ア 母子学級事業-子育て(親支援)・子育ち(子ども支援)の関係理解を深めるための母子学級を開講する。
イ 研修事業-家族の健全育成を支援するコミュニティ・クリニカルサイコロジスト(CCP)及びコミュニティソーシャルワーカー(CSW)のスキルアップ研修を行います。
ウ 普及啓発事業-発達障害児についての理解を深めるための研修活動及び事例検討等の
研究活動、書籍等の出版を行う。      
エ 生活自立に向けての地域福祉事業-発達障害のある子どもの生活自立に向けての地域活動のサポートを行う。
[成人者支援事業]          
ア 生活適応事業-発達障害者の生活適応に資する家族的・社会的支援の組織化に関する活動を行う。
[高齢者支援事業]   
ア 高齢者の食生活支援事業-高齢者及び高齢者に関わる専門職者に対して、高齢者の低栄
養予防のための食生活指導・研修を行う。     
イ 権利擁護研修事業 -認知症高齢者の権利擁護に資する研修を実施する。
[世代間交流事業]
ア 異世代間交流事業-高齢者(特に前期高齢者)の生きがいづくりと社会参加への動機づけ促進のための異世代間交流活動を行う。
イ エイジング教育事業異世代間のエイジズム(年齢差別)、特に高齢者に対する年齢に
よる差別を緩和するためのエイジング教育活動として勉強会を開催する。
[認知症予防支援事業]
ア 認知症予防心理士養成事業-認知症予防の専門家としての「認知症予防心理士」の資格認定制度の確立を目指し、認知症予防心理士育成のための学習カリキュラムの作成、学習機会の提供、定期研修会を行う
イ 認知症予防研究事業-認知症者の心の世界を理解を目指すため、事例検討を中心とした研究活動・研究をまとめた書籍の出版を行う。
ウ 認知症予防普及啓発事業-認知症とロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防に資する生活活動、運動、スポーツの普及・定着化に向けての講習会を実施する等、認知症予防または認知機能活性化に資する知的・社会的活動を支援する。

4.[資格について]
本会では、以下の事業を行う。
ア 認知症予防心理士養成事業-認知症予防の専門家としての「認知症予防心理士」の資格認定制度の確立を目指し、認知症予防心理士育成のための学習カリキュラムの作成、学習機会の提供、定期研修会を行います。
イ 研修事業-家族の健全育成を支援するコミュニティ・クリニカルサイコロジスト(CCP及びコミュニティソーシャルワーカー(CSW)のスキルアップ研修を行います。

コシコシの会ブログ: 制作中https://koshikoshinokai.wordpress.com

5.[入会案内]
「子育ち・子育て支援とシニア世代の生活支援と交流の場」へ参加しませんか?
会員に対して以下のことを行っています。
1)活動成果の公表
前項の各項目に関する成果は、定期的なNL(News Letter)の発行にて周知するとともに、会員のために随時の研修会を開催する。
2)年会費:本会の会員は、次の4種とする。
正会員: 一般会員2,000円     研究会員4,000
賛助会員:  個人5,000円(1口以上) 団体8,000円(1口以上)
3)本会の定款は、別に定める
申込みの際は、氏名・性別・年齢・住所・入会の動機を明記の上、下記のメールアドレスにご連絡ください。入会方法をご教示します。
E-mail : kykyky1948@gmail.com 谷口幸一宛



ヤングケアラー :日本でも増えている/支援対策はあるか?
子どもや若者が介護・世話に追われる「ヤングケアラー」…孤立しがち、進学や就職を断念する場合も(7/1(,2018) 7:13配信 読売新聞社)
 家族の介護や世話をする若者の存在が注目されている。ヤングケアラーとも呼ばれる。孤立しがちで進学や就職を断念する場合もある。彼らが抱える悩みは何か。どんな社会的サポートが必要なのか。(社会保障部・粂文野)
祖父母の病気、大学中退も考えて…「大学をやめようかな」――。大阪府の大学4年生のA子さん(23)は1年半前、大学を中退することを考えた。当時、認知症の祖母(84)の介護と、心臓の病気で入院中の祖父(83)の看護に追われていた。

 「おじいちゃんにお金を取られた」と言ったり、夜中に朝食の準備を始めたり……。祖母からは目が離せなかった。転倒して入院した時には、病院側の求めで身体拘束の同意書にサインもした。家で祖母の世話をしながら、3か月入院した祖父を病院に見舞った。

 授業に出ないで祖父母の世話に専念する日を作った。授業がある日でも、祖母がデイサービスから帰る時間に間に合うよう帰った。いつも祖父母の世話のことで頭がいっぱい。大学の授業の内容も頭に入らなかった。
 A子さんは幼い頃に両親が離婚し、母親と祖父母の4人暮らしだった。母親は週6日の仕事で生計を支えていた。そんな母親の代わりに面倒をみてくれたのが、祖父母だった。「恩返ししたい」。そんな気持ちもあって、積極的に祖父母の世話を引き受けた。
 ただ、両立の悩みを明かせる仲間は周囲に皆無。「介護のことはわかってもらえない」。友人と話す気力もなかった。










2017年12月12日

神奈川県臨床心理士会・福祉分野 研修会のご案内

神奈川県臨床心理士会・福祉分野の研修会についてご紹介いたします。
2018年(平成30年)1月8日(成人の日)に、以下の研修会が行われます。

タイトル:「高齢者の心理臨床と臨床心理士・公認心理師への期待」

地域での支え合いのシステムの構築が改めて問われる中、
「こころの支援」を担う心理士(師)は、
どのような資質と援助方法を備えれば良いのかについて、
参加者とともに考えていくことを目的としています。

詳細や参加申し込み方法は、こちらをご確認ください。
(PDFダウンロード)

2017年12月11日

関連情報(映像)の紹介

本研究会のキーワードとして
「エイジング」「世代間交流」「社会参加」「健康習慣」等が挙げられますが、
これらのキーワードに関連して、以下の情報をご紹介します。

2018年度から新設される東海大学健康学部のキックオフシンポジウムの
映像です。
新設される健康学部健康マネジメント学科は、
「Socail Wellness」「Mental Health」「Nutrition」
「Exercise」「Solution」の5つのミッションを掲げ誕生する学部です。

(図は東海大学HPより引用)

学部詳細についてはリンクをご参照ください。


<健康学部キックオフシンポジウム講演>








2017年7月7日

シリーズ認知症の窓 No.2

 当事者が語る認知症体験―「私は誰になっていくの?―アルツハイマー病者からみた世界」の原著者であるChristine Bodenクリスティーン・ボーデンさん(檜垣 陽子・翻訳)が、ADI2017の京都大会に来日され、
日本認知症ワーキンググループ
(Japan Dementia Working Group:DWG http://www.jdwg.org)主催の
「people with Dementia Relay for hope- Pass the hope from people
with Dementia to people with Dementia.
(認知症とともに生きる-わたしたちからの希望のリレー: 当事者から当事者へ)
に来賓として参加された。開会の冒頭に、彼女の夫と共に壇上に立たれて、短いながらしっかりとした挨拶をされた。

 クリスティーンさんは、オーストラリア政府の高官として多忙の中、
当時の前夫の家庭内暴力と闘いつつ離婚裁判などのトラブルを経験したのち、
1995年に初期のアルツハイマー病と診断されたが、
発症後に再婚して認知症患者の人権擁護を訴えるために、世界中で講演しながら、
ADI2004に参加された経歴の持ち主です。

 ”一度に一つのことだけしないと混乱してしまうこと、
自分のことをうまく説明できないことで圧迫感を感じ、
ストレスが生まれること、複数の音を聞き分けることに大変な努力を要するので、
にぎやかな場所にいると大変に疲れることなどが著書に記されています”。

 今年のADI2017でのWGでは、6人の当事者が参加され、
認知症と診断された本人自身が現在の生活について語られた。
 座長の丹野智文氏(3年前、39歳でアルツハイマー型認知症と診断され、現在43歳)の
進行の下、共同代表の藤田和子氏、佐藤雅彦氏など他3人の同病者の方々が
日々の思いを語っておられました。
 ‥‥認知症への偏見は決して少なくないこと、それを少しでも緩和するには、
自らが社会において公言して、その偏見を取り除くべく努力すべきこと、
何もかもできなくなることもないこと、考えられなくなることもないこと、
サポートがあれば働けること、同年代の仲間と過ごす時間が何よりも大事なこと、
恥ずかしいと思わず、公表し周りの支援を受けていければ認知症になっても
充実した人生が送れること、などを各自が発表されていました。

 認知症になってからも、信頼できる人びととともに笑顔を忘れずあきらめないこと、
生活の工夫を積み重ねていくことが大切であることを伝えたいということでした。
認知症は、疾病ではなく障害であり、そのプロセスであること、
誰にでも起こりうる障害であり、恥ずかしいと思わず、公表し、
周りの支援を受けることで、充実した人生を送れることなどを訴えておられました。



シリーズ認知症の窓 No.1

 ADI と AAJとは―ADI(Alzheimer’s Disease International )とは、
世界各国にある認知症の人とその家族の支援活動を行っている
アルツハイマー協会の連合体であり、
世界保健機関(WHO)と公的な協力関係を結んでいる組織です。
80以上のメンバー団体が其々の国で認知症の人とその家族を支援しています(www.alz.co.uk)。
現在、世界の認知症の人の数は、4600万人、2050年には1億3千150万人に達すると推計されています。
 AAJ(Alzheimer’s Association Japan)とは、
1980年に京都で発足した「家族の会」で、
認知症の本人と介護家族や専門職によって運営されている組織で、
全国47都道府県すべてに支部があります(www.alzheimer.or.jp)。
多くの医療専門職および介護専門職も会員として参加しています。

 日本の認知症の人は、現在は465万人で、
2025年には700万人を超えると推計されています。
家族の会は、認知症に優しい社会の実現を目指して、
政府および認知症関連団体とともに尽力されています。
2015年の世界アルツハイマー・レポートによれば、
世界の認知症の約半分がアジアの国々に住んでいます。
アジア諸国の人口急増と呼応して、認知症の人の数も急増しているわけです。

2017年5月31日

健康科学部社会福祉学科の教員が臨床心理士会の研修会で講演しました

 11月27日に伊勢原キャンパスで開催された神奈川県臨床心理士会の
「平成28年度第1回福祉分野(高齢者支援)研修会」に、
健康科学部社会福祉学科の教員が講師として参加しました。

 この研修会は、高齢化社会が急速に進む中、臨床心理士が地域や施設でどのように高齢者を支援していくべきかを考えようと、
同会の会員でもある本学科の谷口幸一教授らが中心となって企画・実施したものです。
当日は、「高齢者の生活支援・ケアにおける臨床心理士の役割」をテーマに、
介護学や看護学、精神医学のほか、高齢期の発達・社会・臨床心理学など
幅広い分野の専門家による講演やシンポジウムが行われ、
本学科からは、谷口教授のほか、渡辺俊之教授と渡邊祐紀講師が登壇。
県内の臨床心理士ら約40名が聴講しました。

 はじめに、同会の代表理事でお茶の水女子大学基幹研究院の青木紀久代准教授が、
「さまざまな視点から、高齢者支援のために臨床心理士が
果たすべき役割について考えたいと思います」とあいさつしました。
 谷口教授は第1部で、「高齢者が支援を必要とする生活背景」と題して講演。
高齢化社会の実情や課題について説明し、
「厚生労働省が推進している地域包括ケアシステムの中で、
臨床心理士と新たに国家資格となる公認心理師が、
どのように保健、医療、福祉分野の専門職と連携して高齢者を支援していくかを
真剣に考えなくてはならない」と語りました。

第2部のシンポジウムは、
「要支援・要介護高齢者のケアにおける臨床心理士に期待される役割」
をテーマに行われ、渡辺教授と渡邊講師がシンポジストとして登壇しました。
医師でもある渡辺教授は「臨床心理士にも医学的知識が必要」と語り、
認知症の発症メカニズムについて説明。臨床心理士に期待する課題として、
記憶障害・認知機能の評価や回想法による治療、家族との協働ケア、
死別した配偶者への心のケアなどを挙げました。

 また渡邊講師は、高齢者施設で働く介護スタッフのシフトや
健康管理などについて、施設運営者の立場から解説し、
臨床心理士による介護職者のメンタルヘルスに関する支援の必要性を訴えました。
終了後には活発な質疑応答や意見交換が行われました。
(2016年12月05日 東海大学公式HPより転載)

なお、当日の講演者とテーマは以下のとおりです。

第1部 講義
1「高齢者が支援を必要とする生活背景」
 谷口幸一教授(東海大学健康科学部社会福祉学科)
2「高齢期の心理社会的課題~社会老年学(ジェロントロジー)の視点から~」
  安藤孝敏教授(横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程)

第2部 シンポジウム 
テーマ「要支援・要介護高齢者のケアにおける臨床心理士に期待される役割」
司会:青木紀久代准教授(お茶の水女子大学基幹研究院)
   谷口幸一教授(東海大学健康科学部社会福祉学科)
シンポジスト
   「介護福祉学の立場から」
    峯尾武巳教授(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科)
   「看護と福祉の立場から」
    渡邊祐紀講師(東海大学健康科学部社会福祉学科)
   「高齢期臨床心理学の立場から」
    野村信威准教授(明治学院大学心理学部心理学科)
   「老年精神医学の立場から」
    渡辺俊之教授(東海大学健康科学部社会福祉学科)
指定討論者
   「各シンポジストの講演から」安藤孝敏教授
   「高齢者性心理学の立場から」荒木乳根子名誉教授(田園調布学園大学)