2016.3.18 参議院予算委員会の答弁 民主党/新録風会議員・白眞勲 氏の答弁
老若世代間交流を学校の行事として実施したらどうかという提案。
その提案の内容は、授業の一環として地方に住む祖父母のところに、宿泊を兼ねて訪問し、会話や農作業をともに行うことで、身近に祖父母の存在や老いの現実を実感し、老若両世代の相互の理解に役立つという提案だった。その予算化の根拠もパネルで説明された。
「親孝行制度について」と題するパネル(白 眞勲氏 提示)
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小学校1年生~6年生の児童= 654万3千人が、(地方に住む祖父母を宿泊を兼ねて訪ねる制度)
うち5割がこの制度を利用した場合
654万3千人×0.5=327万1千5百人
旅費(3万人)、おこづかい、玩具、外食等(2万円)
↓ 5万円消費と仮定
327万1千5百人×5万円
=1,636億円の経済効果が見込める
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その提案に対して、文部科学大臣・馳浩氏は、授業の一環として、これらを行事化するという提案には難色を示した。その理由は、小学生は、一年間のうち150日以上の「休み」があり、その間にこのような行事を個別に行う方が現実的という考えであったが、提案者の白氏は、授業の一環として国の行事として実施することに、世代間交流の効果を高めることに意義があり、その定着化にもつながるとの内容の意見であった。その質疑の中で、当委員会に同席中の厚労大臣・塩崎恭久氏、副総理兼財務/金融担当大臣・麻生太郎氏、首相・安倍晋三氏に対して、白氏は個人的な意見を求めた。それに対する各氏の回答は、概ね個人的には祖父母との子供時代の体験を語る中で、”面倒くさかった”、”祖父母も孫との交流は体力的にも疲れる”などと特段の好意的な感想は語られなかった。
この提案は、地方創世、少子化対策を踏まえた上での地域活性化の一助となる注目に値する貴重な提案と思われるが、現政権の核となる主要閣僚が、上記のような認識では、白氏の真剣な提案も反故にされる可能性が高いと思われた。
筆者らは、大学の授業に地域の高齢者を招聘して、学生と「人生課題を語る」ワークショップを今年度実施した(コラム2016年2月号を参照のこと)。地域の高齢者を、小学校・
中学校・高等学校に授業講師として招聘して、ともに語り合う所定のテーマを設けて相互の交流をはかる試みが、世代間交流としては、より現実的で、かつ効果があることを実感した。読者の皆さんはどのように考えますか。(第二分野・エイジング教育 谷口)