2015年6月29日

運動を中心とした大学拠点型健康づくり活動

「大学」が活動拠点となり、近隣の行政機関(市役所)との連携で、
地域住民の健康づくりを実践しているのが、
東海大学健康クラブ・市民健康スポーツ大学
(総合型地域スポーツクラブ)である。


2009年度以来、過去6年間にわたり、その活動は継続されている。
医療・保健・福祉に関する最新の知識を、大学の教員が講師となり
「講義」という形で市民に提供し、
また運動の理論と実践を体育学部の教員陣と学生が指導者・補助者となり
継続的に提供している。


現在は、年間プログラムを構成して、
大学と市の体育館の両方を活動の場として位置づけ、
年間72回の活動プログラムを用意している。
市民会員の定員は100名であり、
市の広報を通じて募集がなされているが、
僅か数日間で満員となる盛況ぶりである。
継続会員も多いが、新規会員の開拓も目指しているので、
3年間継続者は一度、「卒業」して貰うルールになっている。
卒業会員は、新たにOB会組織を作り、
自主運営方式で、年間の健康づくり活動を継続している。


単なる運動・スポーツ活動に止まらず、
新年会、忘年会、定期的な食事会、ミカン狩りなどの
親睦を兼ねた活動に広がりつつあり、
新たな地域の仲間づくりの場になっている。


健康クラブ会員の平均年齢は、60歳台前半、
同OB会の平均年齢は、ほぼ70歳である。
会員の性別の割合が、
健康クラブとそのOB会ともに、男:女で3対7であり、
5対5まで高めることを目標としている。
学生の健康クラブ活動へのボランティアとしての参画と
大学の授業への市民会員の講師としての参加も、
新たな行事として行われつつある。
読者の方でご関心のある方は、東海大学健康クラブ活動を覗いてみませんか。
(谷口)

東海大学AS研究会


東海大学AS研究会とは、
人口の高齢化(Aging Society:AS)の中で生じている
シニア世代の生活課題について、会員の人生経験を踏まえて、
いかに生きがいづくり、健康づくりに役立てていくかの視点から、
ともに考えて行こうという趣旨で発足した
市民と協働した自主的な研究会である。

主宰者の勤務する大学を活動拠点として、
定期的な勉強会を開催している。
平成27年度現在で19年目を迎えている。

現在の会員数は25名、平均年齢は約72歳であり、
男女の内訳は4対6である。
隔月ごとに定期的に開催しており、年間全6回+α回の開催である。

本会の活動内容は、
出席会員の「一分間スピーチ」に始まり、
事前に予定された会員のレポート(各回ごとに2人が発表者となる。
テーマは、介護・社会保障・健康づくり・趣味活動・ボランティア活動・
家族問題・社会参加活動などに及ぶ)と
「主催者のミニ講義」
(高齢者の生活に資する諸に課題に関する研究や実践活動の紹介)
を行っている。

また、定例会の終了後には大学近辺のレストランに移動し、
夕食会を開催している。
このフリーな食事会が、会員の何よりの楽しみとなっている。
本会の活動は、会員の研究発表に加えて、
忘年会、暑気払い会、宿泊研修旅行、高齢者施設等の見学等も随時に行っている。
AS研究会の活動記録として、過去に10年誌、17年誌をまとめている。

(活動記録集の表紙)


このような地域活動に興味のある読者は、
21世紀日本研究セミナーの共同主宰者でもある谷口までご連絡下さい。
(メールアドレスはこちら)

認知症 早期発見と告知のケア


物忘れは加齢に伴って、誰もがある程度経験するものである。
高齢期を迎えた、あるいは近づく時に、
自分の物忘れが正常な範囲であるのか、
心配になってしまう人も多いのではないだろうか。


告知を受けたことで落ち込んでしまい、
意欲の低下やうつ状態になる場合もある。
また家族の方がショックを受け、うつになるようなケースもある。


認知症とMCI、また物忘れがあることとMCIとの段階は
診断によって区別されるものであるが、
しかし、MCIと診断されたすべての人が認知症になるわけではない。
特に何もしなくても正常な認知機能に回復したり、
最後まで認知症の症状が出ない人がいることが調査によって明らかとなっている。


MCIの数は、65歳以上の高齢者のうち推計400万人以上と言われる。
進行した後の根本的な治療が見つかっていない認知症にとって、
早期発見と予防が大切であることは言うまでもないが、
早期診断・治療とともに、
心のケアを考えた診断・告知もまた重要な課題ではないだろうか。
自身に起こっている変化について、
当然、本人が一番不安や恐怖を感じていることを忘れてはならない。
(坂井圭介)

揺らぐ高齢者講習の目的


高齢者講習の根幹となる目的が揺らいでいる。1998年に実施され始めた当初はあくまでも「教育の論理」に基づき、高齢ドライバー本人に対して加齢に伴う運転能力の低下を自覚させる機会と位置付けていた。すなわち、講習現場で実施される種々の検査結果に拘わらず、免許の更新が大前提とされた。これは、国民皆免許時代に伴い、自動車運転そのものが決して難しいことではなく、誰にでもできるという考え方に立っている。したがって、排除することなく教育を重視する心理適性に基づき講習が組み立てられていた。

しかし、2000年代に入り、認知症ドライバーによる事故が目につくようになると、2009年から75歳以上ドライバーの免許更新時に認知症簡易検査を課し、一定の条件を付けて免許の更新を認めなくなった。すなわち、医学適性に基づく「排除の論理」が一部導入された。そして、今回の2015年改正道交法の衆議院通過でそれが一層強まった。運転適性を欠く人による自動車運転が増えてきたからである。ちなみに、定期航空パイロットの免許に関しては、6か月に一度、厳しい基準で身体検査が行われ、これに合格しないと免許が更新されず、基本的に排除の論理で免許制度が運用されている。

自動車運転に関しては、教育を重視するという当初の講習目的は依然として残っており、現在は2つの論理が混在している。そのため現場は混乱している。(所正文)

大学が超高齢社会・日本の救世主となりうるか!


大学連携型CCRCという構想がマスコミや行政機関(まち・ひと・しごと創生総合戦略、教育再生実行会議第六次提言など)を通じて広がりつつある。CCRCとは、Continuing Care Retirement Community」の略語である。その意義は、健康な間に入居し、人生最後の時まで継続してケアを提供する高齢者コミュニティ」を意味する(三菱総合研究所・プラチナ社会研究会。2015  <URL: http://platinum.mri.co.jp>)

この構想においては、大学の有する教育・研究・社会連携の機能を横軸にして、新たな大学像を地域社会の中で模索している。50歳台の心身共に健康なうちに退職後の住家や生活拠点を移し、長い老後を生きがいのある生活にすることを狙いとしている。新たな地域拠点の条件は、セカンドライフとなるシニア層にとって住みやすい住居や地域社会があることであり、その一つの要件として、そのコミュニティに根づいた「大学」を位置づける構想である。大学は、新コミュニティに移り住んできた住人を、学生として受け入れ、若い世代との交流の機会を提供する。従来の大学イメージとしての10歳台~20歳台を中心とした学生層は、人生経験豊かな中高年世代との交流を通して、長年のキャリアから培った知識と技能と知恵を学ぶメリットを得る。他方、シニアの学生は若い学生から新時代の息吹と活力と最先端の知識を学ぶ機会となる。このような老若世代が双方向から刺激し合う魅力的な場としての新たな大学像を現出させるというものである。米国には、CCRC構想に沿って地域コミニティが構築され、斜陽化した大学を見事に復活させた大学も多いと聞く(ラッセルカレッジ、フロリダ大学、ダートマス大学、スタンフォード大学などは、その好例)。さて、現在の住居から終の棲家として移り住めるCCRCの構想に基づく新天地とは、どのような要件が具備されたものであろうか。筆者も、この研究会の会員として、魅力的な日本型CCRCについて、勉強したいと考えている。(谷口)

派遣法改正 「働き方の選択」とは何か?


 2015年度通常国会で、労働者派遣法の改正案が提出され、619日に衆議院で可決された。本コラムを執筆している時点では参議院で審議中だが、可決は確実とみられる。

 今回の改正点は次の通り。まず、これまでは秘書や通訳などの26の専門業務では無期限に派遣社員を従事させることができ、それ以外の業務では派遣社員を従事させることができるのは3年までであった。これを、業務の種類に関わらず、一人の派遣社員が働ける期間を3年までにするというものである。一方、無期雇用の契約を結んだ派遣社員については、無期限に働かせることができる。

 この改正によって、有期雇用の派遣社員は3年ごとに新たな職場を探さねばならず、無期雇用では派遣の身分が固定化されてしまうという危惧がある。安倍首相は今回の改正案の趣旨について、「働き方の選択がしっかり実現できるような環境を整備していくため」としている。たしかに派遣で働くことを希望している人にとっては良いことかもしれない。しかし、派遣で働く人の多くは、自ら望んでそうなったわけではなく、できれば正社員として働きたいと思っているのである。

 本当に派遣社員の待遇改善を目指すのであれば、ヨーロッパのような「同一労働・同一賃金」制度の導入を真剣に検討するべきである。(鈴木聡志)

2015年6月10日

セミナーの報告(2015年5月)

2015年5月30日(土)、
「就活を通して人生を考える」と題し、
第8回のセミナーを開催致しました。
今回は【仕事・人生系】からのセミナーで
小林 源 氏(産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、キャリア教育アドバイザー)
より、ご発表をいただきました。


以下、当日発表のまとめです。

就活を通して人生を考える

クリックすると発表原稿が開きます。
文字化けする場合は、
ダウンロードを選択し、ワードファイルでご覧ください。 

また、懇親会も賑やかに行われました。