2015年6月29日

大学が超高齢社会・日本の救世主となりうるか!


大学連携型CCRCという構想がマスコミや行政機関(まち・ひと・しごと創生総合戦略、教育再生実行会議第六次提言など)を通じて広がりつつある。CCRCとは、Continuing Care Retirement Community」の略語である。その意義は、健康な間に入居し、人生最後の時まで継続してケアを提供する高齢者コミュニティ」を意味する(三菱総合研究所・プラチナ社会研究会。2015  <URL: http://platinum.mri.co.jp>)

この構想においては、大学の有する教育・研究・社会連携の機能を横軸にして、新たな大学像を地域社会の中で模索している。50歳台の心身共に健康なうちに退職後の住家や生活拠点を移し、長い老後を生きがいのある生活にすることを狙いとしている。新たな地域拠点の条件は、セカンドライフとなるシニア層にとって住みやすい住居や地域社会があることであり、その一つの要件として、そのコミュニティに根づいた「大学」を位置づける構想である。大学は、新コミュニティに移り住んできた住人を、学生として受け入れ、若い世代との交流の機会を提供する。従来の大学イメージとしての10歳台~20歳台を中心とした学生層は、人生経験豊かな中高年世代との交流を通して、長年のキャリアから培った知識と技能と知恵を学ぶメリットを得る。他方、シニアの学生は若い学生から新時代の息吹と活力と最先端の知識を学ぶ機会となる。このような老若世代が双方向から刺激し合う魅力的な場としての新たな大学像を現出させるというものである。米国には、CCRC構想に沿って地域コミニティが構築され、斜陽化した大学を見事に復活させた大学も多いと聞く(ラッセルカレッジ、フロリダ大学、ダートマス大学、スタンフォード大学などは、その好例)。さて、現在の住居から終の棲家として移り住めるCCRCの構想に基づく新天地とは、どのような要件が具備されたものであろうか。筆者も、この研究会の会員として、魅力的な日本型CCRCについて、勉強したいと考えている。(谷口)