2015年7月21日

「ゆう活」で長時間労働は是正されるのか?


 政府はこの夏、国家公務員を対象に、「ゆう活」という制度をスタートさせた。これは、始業時間を早めることで、仕事を早く終わらせ、夕方からプライベートな時間を楽しむことで、充実した生活を送ろうというものである。「ゆう活」の「ゆう」とは、「焼け時に」「々とした時間が生まれる」「人と会える」「ぶ時間が増える」「家族で過ごすしい時間が増える」「新しい人・モノ・こととばれる」という意味が込められているそうである。スキージャンプの葛西紀明選手らを起用したTVCMを作成するなど、かなりの力を入れている。政府はこの制度を地方公務員や民間企業にも広げ、長時間労働の是正につなげていきたいとしている。

 果たして本当にこの「ゆう活」で長時間労働は是正されるのであろうか。まず、始業時間を早めることにより、単純にその分だけ労働時間は長くなる。そして、始業時間を早めた分だけ定時より早く退社できればよいが、それができずに結局通常の定時以降まで仕事をすることになったら、さらに労働時間は長くなり、本末転倒である。また、仕事の量は減らさずに定時以前退社のみを強要すれば、仕事を家に持ち帰ることになり、その分の残業代は支払われない、という事態も考えられる。始業時間を早めることにより、睡眠時間が短くなり、健康への悪影響も懸念される。

 長時間労働是正のためには、業務の効率化、一人あたりの仕事量の低減、帰りやすい雰囲気を作るなど、ほかの施策も行うべきである。
(鈴木聡志)