電通総研は、2015年3月、「若者×働く」調査を実施した。これは、週に3日以上働いている18~29歳の男女3,000名を対象とし、若者の現在の働き方、働く目的、働くことに対する意識などを明らかにしようというものである。
この調査では、若者の3割(女性は4割)が非正規雇用である、5割が給料やボーナスの低さに不満を感じている、7割が働く目的は安定した収入のためとしている、などのデータが明らかになっている。なかでも注目を集めたのが、働くことの意識について、4割が「働くことは当たり前だと思う」と回答した一方で、3割が「できれば働きたくない」と回答していたことである。
できれば働きたくないと考えている若者が3割に上ることについてはどのように捉えればよいのだろうか。まず、調査サンプルが「週に3日以上働いている者」であるため、週2日以下または働いていない者も含めれば変動する可能性がある。また、日本社会においては働くことは当然であるという風潮があるため、働きたくないとは回答しづらく、潜在的に働きたくないと思っている人はもっと多い可能性もある。一方、この調査では他の年代との比較がないため、他の年代と比べて多いかどうかはわからない。
いずれにしても、この調査データをもって若者を叩くのは早計である。働きたくないと思うのは、労働環境など社会のほうにも問題があるからである。大事なことは、世の中には一定数の働きたくないと思う人がいることを認め、そのような人でも快適に働けるような社会にしていくことではないだろうか。(鈴木聡志)