2015年8月21日

語らいやコーヒーを楽しむ


認知症の診断を受けてしまったら、人との関わりはどのようになってしまうだろうか。
たとえ、身の回りの支援が介護サービスによって充足されるとしても、
私たちの生活は衣食住だけでなり立っているわけはない。
病気のことを誰にも明かせない、友人と疎遠になってしまい、
家に閉じこもってしまう人もいる。
デイサービスを利用すれば、人間関係は満たされるだろうか。
例えば、友人と一緒に過ごしたい、趣味の合う人、自分と同じ困難を抱えている人、
その不安を共有できる人と話をしたいという思いは誰にでもあるのではないか。

最近、認知症カフェという言葉を聞くようになった。
国を挙げて認知症問題に取り組んでいるオランダで、アルツハイマーカフェとして
認知症の人や家族が語ることのできる場、社会参画の場として普及し、
日本でも始められるようになったものである。
オレンジカフェ、オレンジサロンなどの名称がつかわれていることもある。

開催場所も内容も様々であるが、「カフェ」という名前が示すとおりに、
治療や介護の中にではなく、普段の生活上にあることが大きな特徴であると思う。
介護保険のサービスではないので要介護認定を受けている必要もなく、
また家族や友人、本人を心配している近所の人々も参加対象者となり得るため、
本人にとっての繋がりづくりだけでなく、地域住民の理解を深め、
認知症になっても暮らしやすい地域作りにとっても意味があると考えられる。

まだ始まったばかりの活動であるが、開催方法の工夫やその効果についての
検証や情報交換が進んでいくことが期待される。
(坂井圭介)