2016年2月20日

国は若年無業者対策にどこまで「本気」か

サポステ公式サイト

 厚生労働省は、通学も家事もしていない若年無業者、いわゆるニートの就労支援策として、地域若者サポートステーション、通称「サポステ」を運営している。そこではキャリアコンサルタント、臨床心理士、産業カウンセラーなどが、相談、学習、職場経験を通じて就職支援を行っている。
 そのサポステが先日掲げた標語が物議を醸している。それは、「キミはまだ本気出してないだけ。」というものである。これは、「俺はまだ本気出してないだけ」という漫画の主人公のセリフから採ったものだが、この標語がまるで就職できないのはニートが本気になっていないためで、ニートの側にだけ原因を求めているかのようなものであるため、批判を浴びている。これに対して厚生労働省は、「本気」を出すのは若者と国側の両方であり、知名度の低いサポステの存在を知ってもらうため、このようなインパクトのある標語を採用した、としている。それならば、ぜひ労働環境の改善などにも本気で取り組んでほしい。
 また、サポステでは平成26年度の新規登録者のうち、就職率は52.3%で、これをかなり高い数字のように打ち出しているが、逆に残りの半分近い人はどうなっているのかと心配になる。さらに、就職した人の離職率も公表されていない。就職できてもすぐに離職してしまっては無意味であり、そのサポートもできているのか不明である。国は、仕事をしているフリではなく、本気で若年無業者対策をしたいなら、若者のほうだけを変えようとするだけでなく、社会のほうも変えていく努力をするべきである。(鈴木聡志)