2014年8月21日

シニアマーケット

拡大・変化・高齢者市場


人口構成比としての高齢世代が増加し、
あるいは他世代の人口が減少する中では、、
当然、シニア世代は益々大きな市場のターゲットとなっていくでしょう。

シニアマーケットは内需活性化のおおきな要素と言われてから久しく、
既に、シニア世代の消費特性に関わる調査やレポートは多く存在します。

しかし、人口数が多いからといって、
全ての高齢者を同一の市場ターゲットとしてアプローチをしても、
簡単には売上にはつながらず、シニアマーケットは難しいともいわれます。

単に年齢や健康状態だけでなく、
家族、子世代との同居の有無や
介護経験の有無などでも消費性向に違いがあるそうです。

「過去にこれほど高齢化が進んだ経験がないため、
企業に高齢者についてのデータがなく、
企業が現実に追いついていない」(日経トレンディネット)

高齢者が求めるものといって、
皆さんは何をイメージできますか。
高齢者は、不自由、ゆっくり、介護、魚、薄味、…、

商品を考える高齢者ではない企業の人たちも、
現実の高齢者と接してきたことがあまりにも少なく、
想像が難しい。

シニアマーケットを考えることは、
ありのままのシニア世代像を明らかにすることかもしれません。

(21世紀日本研究セミナーは、
 この領域の研究について、十分な情報を持っているとはいえません。
 特に、この領域に明るい方々の 参加・発表を待望しています)



アウトライン:シニアマーケット

(以下、解説 : 所 正文)

高齢者は健康、経済、キャリア、価値観等において個人差が大きいため、
シニアマーケット多様なミクロ市場の集合体である。
したがって、全体の市場は
「10%:80%:10%」(富裕:普通:要介護)に区分される。


シニアマーケットのおよそ80%を占めるとされるいわゆる「普通市場」について、
ニッセイ基礎研究所レポート
「高齢者市場開拓の視点~100兆円市場が求める商品サービスとは」では、
次の6点を指摘している(参考サイト)

(1)「不の解消ニーズ」市場
  老化に伴う身体上・生活上において生ずる様々な不便や不満を
  代替、補完する形で解消していく市場であり、
  具体的には、補聴器・杖・電動自転車・配食サービス・らくらくホン等がある。

(2)「健康ニーズ」市場
  自分の健康への投資意欲が高まりに注目した市場であり、
  最近は、健康カラオケ、健康マージャンといった
  健康と絡めた新業態も産まれている。

(3)「時間充実(消費)ニーズ」市場
  日々の自由な時間を活動や趣味を通して充実させることを支援する市場であり、
  具体的には、旅をサポートするナビ、生涯学習、
  家庭農園、軽登山関連グッズ等がある。

(4)「つながり関係ニーズ」市場
  老親の見守りサービス等の親孝行市場、
  友人との関係をサポートする同窓会支援等がある。

(5) 「長寿の生き方ニーズ」に応える市場
  人生90年時代に相応しい高齢期の暮らし方について、
  多面的なサポートを求める声が聞かれるが、
  単独企業でこうしたサービスを提供することは難しく、
  複数の様々な業態の企業が参加する形で開発・提供していくことが必要になる。

(6)「身体が弱っても楽しめるENJOYニーズ」に応える市場
  多くの人は70歳代後半から徐々に身体的な虚弱化が進むが、
  「身体が弱ってもこんなに楽しいことがある」ことを
  知ってもらう商品サービスの積極的な開発と市場への投入が待たれる。


個人消費のすでに4割を65歳以上高齢者が占め、
その規模は100兆円に達すると言われる。
人口減少で内需縮小が見込まれる中で、
シニア市場の掘り起こしに力を入れる生活関連企業が相次ぐ。

具体例は次の通り。
居酒屋チェーンの大庄は、東京都墨田区にサービス付き高齢者住宅を開設し、
高齢者世帯の生活全般に及ぶ支援サービスを展開する。

イオンは、徒歩圏内に立地する生鮮食品中心の小型スーパーを
すでに首都圏で運営しており、2013年度末までに500店まで増やす予定。

コンビニ業界では、セブン-イレブン・ジャパンが
単身向けの「1人前総菜」を拡充して2012年度は総菜の売り上げを7割伸ばし、
さらに日替わり弁当の宅配サービスも全国約1万店で手掛けている。

紙おむつのユニ・チャームは
12年度に大人用紙おむつの国内売上高が子供用を上回っているなど、
消費市場ではすでに構造変化が起きている(日経新聞2013.4.20)



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