2015年6月29日

派遣法改正 「働き方の選択」とは何か?


 2015年度通常国会で、労働者派遣法の改正案が提出され、619日に衆議院で可決された。本コラムを執筆している時点では参議院で審議中だが、可決は確実とみられる。

 今回の改正点は次の通り。まず、これまでは秘書や通訳などの26の専門業務では無期限に派遣社員を従事させることができ、それ以外の業務では派遣社員を従事させることができるのは3年までであった。これを、業務の種類に関わらず、一人の派遣社員が働ける期間を3年までにするというものである。一方、無期雇用の契約を結んだ派遣社員については、無期限に働かせることができる。

 この改正によって、有期雇用の派遣社員は3年ごとに新たな職場を探さねばならず、無期雇用では派遣の身分が固定化されてしまうという危惧がある。安倍首相は今回の改正案の趣旨について、「働き方の選択がしっかり実現できるような環境を整備していくため」としている。たしかに派遣で働くことを希望している人にとっては良いことかもしれない。しかし、派遣で働く人の多くは、自ら望んでそうなったわけではなく、できれば正社員として働きたいと思っているのである。

 本当に派遣社員の待遇改善を目指すのであれば、ヨーロッパのような「同一労働・同一賃金」制度の導入を真剣に検討するべきである。(鈴木聡志)