2015年7月6日

性格特性や運動に関する自己効力感は、運動への動機づけを高めるか?

2011-13年度の文部科学省の科学研究助成金を得て、
居住地域の老人クラブに加入されている一般高齢者を調査対象として、
彼らの日々の身体活動(生活運動、運動・スポーツを含む)に及ぼす
影響要因を同定する研究を行った。
調査の分析対象となった高齢者は、総計876人(60-92歳)であった。

その結果、
①外向性や誠実性という2つの性格特性は、
年齢や性別や身体的健康の影響を取り除いた場合でも、
身体活動レベを高める要因である。

②外向性、開放性、協調性、誠実性、情緒安定性という
主要な5つの性格特性が、
運動に関する自己効力感を高めている。

③外向性という性格特性ならびに運動に関する自己効力感は、
身体活動のレベルに直接的な影響を与える最も重要な予測因子である。

この調査結果を分かりやすく説明すると、
一般高齢者の日々の運動の習慣度を上げるためには、
個人の性格特性の中でも、
とくに外向性(興味・関心が、自分以外の他人や出来事に多く向いている傾向)が高いことや、
誠実性(物事に取り組む態度・姿勢の真剣さ)の高い人々を、
優先的に教育指導することや、
また運動の効用に関する知識教育や運動の楽しさを実感させるような
実地指導をすることで、
運動習慣者の割合を増やすことが可能となることを示している。
退職高齢者の運動指導を行う際の参考としていただきたい。(谷口)。

(資料出典:Yasunaga,A.and K.Yaguch: Personality traits,self-efficacy for exercise,and exercise levels in older Japanese adults.The Japanese Journal of Health Psychology.Vol.27,.No.1,1-11,2014)