2015年8月21日

健康心理学会2015年度の自主シンポジウム―「健康に寄与する実践活動を考える」~人と人の繋がりとエンパワメント~


企画者:押山千秋[千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター];
谷口幸一[東海大学 健康科学部]
話題提供者1 谷口幸一(東海大学 健康科学部)
話題提供者2 押山千秋[千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター]
話題提供者3 野澤孝司 [目白大学]
指定討論者:木村裕 [早稲田大学]
(28回健康心理学会(平成2796:13:00-15:00 桜美林大学町田キャンパス)

家族、地域、職場、学校など、様々な関係で構成されている文脈の中で、私たちは今を生きている。一人一人のwell-beingを考え、より高いQOLを担保する可能性の一つとして、地域でのサポートが注目されている。あらゆる人々を含めた社会的なネットワークを地域で構築し、みんなでともに生きていこうという発想である。前回(健康心理学会27回大会・琉球大学)、我々はその社会的なネットワークの根幹をなす「人と人の繋がり」がもたらす健康について、「超高齢社会とソーシャル・キャピタル」をテーマに、人と人を繋ぐ活動について、主に音楽を使った実践例を中心に議論した(押山・谷口・師井・小杉・木村・野澤,2014)。社会・地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念である「ソーシャル・キャピタル(Social capital:社会関係資本)」が蓄積された社会では、相互の信頼や協力が得られるため、他人への警戒が少なく、治安・経済・教育・健康・幸福感などによい影響があり、社会の効率性が高まることに結びつくとされている。

本シンポジウムでは、今回の大会のメインテーマにも繋がる「エンパワメント」を生み出す実践活動について、「運動」「音楽」「笑い」を使った3つの身体活動を伴う実践活動を紹介する。企画者の谷口から、自身がその運営に携わってきた大学と自治体との連携による中高齢者を対象とした総合型地域スポーツクラブ「T大学市民健康スポーツ大学」の実践活動について、その継続性に関わる運営面の課題や市民参加者・学生に及ぼす効果について話題提供する。もう一人の企画者の押山氏から、子どもを対象にした「音楽」を使った実践活動を、実演による体験なども交えながら話題提供する。最後に、「笑いヨガ」(Laughter Yoga)の実践的研究者である目白大学の野澤孝司氏に、最近普及し始めている「笑いヨガ」による健康増進活動の理論と実践について、話題提供していただく。それぞれの実践活動がどのような形で人々をエンパワメントし、それがソーシャル・キャピタルの蓄積にどのように寄与しているか、また、健康との関連について議論したいと考える。本シンポジウムでは、音楽、笑いヨガの実践を挟みながら、楽しい学びのひと時としたい。読者の参加を期待する(谷口)