2015年4月20日

高齢者の事故親和特性



事故に結びつきやすい高齢者の特性として、視力(視野を含む)、反応の速さ・バラツキ・正確さ、そして自分の運転能力に対する過信があげられる(所,1997,2007)。
まず視力は他の機能に比べて老化現象が早く訪れ40歳代後半から老眼開始とともに下降し始める。それに伴い暗順応や夜間視力が低下し、夜間運転は大変危険になる。さらに、65歳を過ぎると視野が狭まり、左右を確認しても見落としが生じてくる。運転に必要な情報の約8割は視覚を通して摂取するため、視覚機能の低下は最も深刻視される。
反応と事故との関係では、反応時間の速さよりも安定性(反応時間の標準偏差)が重要である(所,1997,2001。すなわち、反応の安定性に欠く高齢者は若年者に比べて事故を起こしやすいと言わざるを得ない。
自分の運転に対する自信の持ちすぎは、不安全行動をもたらし大変危険である。高齢者は、交通規則よりも自らの経験則を重視しがちであり、その典型が交差点での一時停止違反である。長年の経験に基づく過信が、結果的に事故を招いている。〈解説:所正文〉