2015年5月11日

運動の加齢サイクル


身体が自由に動き、自分の行きたいところに自由に行ける生活こそが、
人の基本的で最も重要な身体的条件である。
しかし、高齢になると歩行は何とかできても、
一人暮らしなどの自立した生活を送る能力に障害が出てくる人が多くなってくる。
移動の不自由さは、体力低下や生理機能の減退に止まらず、
心理・社会的活動にも支障が生じてくるという悪循環を生む。
高齢になって運動をしないことが心身に与える悪影響については、
さまざまな研究や仮説が存在する。

バーガー(Berger,B.G 1989)の「運動の加齢サイクルというモデルによれば、
加齢につれて日常生活に占める運動量が減少すると、
肥満、筋力低下、精力減退が起こり、さらに老いの自覚が増し、
ストレスや不安・抑鬱の増加と自尊心の低下が起きる。

このような心身の不調は、一層の身体活動の減少に導き、
やがて予備体力の減退から
心臓病、高血圧、各種の痛みなどの慢性病(生活習慣病)が発症すると解説している。
このような加齢につれて生じやすくなる「運動の悪循環」を断ち切る個人的努力と共に
社会的な啓蒙・指導が必要とされる。
老いるほど生理的には日々体を動かさなくなり、運動不足病に陥るが、
意識レベルではさほどの運動不足感は感じていないと傾向が認められる。
意図的に運動への動機づけを高める必要性が認められる。
(谷口幸一)