2015年5月3日

キーワード:BPSD

「うちのおじいさんは認知症になって、
最近ありもしないことを疑うようになった。
急に怒り出す。今話したことを何度も聞いて困る。」

認知症の話題が一般的になり、その症状についてもよく話されるようになった。
しかし、これらのような認知症の症状は、
一括りにして扱われるべきではない。

「今話したことを忘れる」のように、
記憶障害など、脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状を、
認知症の中核症状という。
他にも判断力の低下、実行機能障害など、
これらは直接起こる症状であるので、
程度の差はあれ、すべての人に見られる症状である。

一方、お金や物をとったなどと疑う(物盗られ妄想)や
穏やかな人がいつも怒っているようになった(感情表現の変化)などの症状は、
中核症状に伴い、元々の性格、環境など
様々な要素が絡み合って起こっているもので、
このような行動・心理症状を「周辺症状」と呼ぶ。
近年はこれをBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)
と表すようになった。

BPSDは、認知症の理解不能な困った行動と捉えられてきた。
中核症状自体の改善は難しいが、
BPSDについては、対応や環境を変えることで改善することがある。
本人の世界やその行動の理由を考えて、
何がその行動を引き起こしているのか理解をしながら
関わることが大切である。

(坂井圭介)