人生80年を1日24時間の枠内でとらえる考え方。誕生を零時、20歳は午前6時、40歳は正午、働き盛りの50歳代前半は午後3時から4時頃、60歳定年は午後6時、この後は楽しい晩餐のひと時となるというのが従来の考え方。この時計は1年間で18分進む。
超高齢社会では、人生の山は一つだけではなく複数あるはずであり、最初の山は60歳を迎えた午後6時でリセットしたらどうかというのが私の考え方。そこで第2の山へ登りかえ、次なる人生時計を80歳までの20年間で再設定する。すなわち、65歳で午前6時、70歳で正午、75歳で午後6時を迎える。第2時計は1年間で72分(=1時間12分)進み、第1時計と比べて、その速度は4倍となり、朝日の昇りきる午前8時台は67歳頃になる。そして、第2時計も午後6時、すなわち75歳でリセットする。
生涯発達に伴い人生時計のリセットを繰り返すことにより、高齢者にも朝日の昇る時期が何度も訪れ、老年期に希望と潤いをもたらす。これは認知心理学的に重要なフレームワークとなる。ただし、老年期の人生時計は第1時計と比べて進行速度が速いことに注意しなければならない。〈解説:所正文〉