高齢者が「自分には運転適性上の欠陥がある」と理解した場合、それを矯正しようとする無意識の最適化が行われる。例えば、視覚的欠陥があれば夜間運転を行わない。また、反応時間が遅ければ、渋滞時を避けるなどの注意深さで運転しようとする。高齢者は、こうした補償メカニズムを最大限に発揮させる心理適性を保有しており、これはまさに高齢者のもつ優れた事故回避特性である。ただし、補償メカニズムは、単純な交通状況ではうまく機能するが、交差点のような複雑な交通状況では、安全運転態度をもってしても補償できない場合がある。〈解説:所正文〉