2015年4月20日

Give Wayと江戸しぐさ



運転の基本は愛他精神であるとの考え方がイギリスには伝統的に存在し、一時停止の標識は「とまれ(Stop)」ではなく、「相手に道を譲れ(Give Way)」と標示される。交通行動としては、日英とも一旦止まるという点では同じあるが、相手に道を譲るために自分が止まるということを意味す“Give Wayの標識は「他人への配慮の重要性」を示す大変インパクトのある標識である。この日本版とされるのが「江戸しぐさ」である。争いを避け、互助の精神で生きていくために江戸っ子たちが身につけた江戸しぐさの数は約1000種類とされる(越川,2006,2007「こぶし腰浮かせ」は、乗合船などで後から乗り込んできた人のために、皆がこぶし一つ分ほど腰を浮かせて詰め、席を譲るというしぐさ、まさに"Give Way"そのものである。「うかつあやまり」とは、人ごみの中では人の足を踏んでしまった方だけでなく、踏まれた方も「こちらこそうっかりして」と一言返すしぐさ、"Thank you" "Welcome"のやりとりに似ている。〈解説:所正文〉