2015年4月20日

いわゆる「残業代ゼロ法案」について



201543日、政府は改正労働基準法を閣議決定した。そこでは新たな労働制度として、「高度プロフェッショナル制度」が設けられた。これは、高い専門性を持つ年収1075万円以上の者に対しては、残業代や深夜勤務手当などを払わなくてよいというものである。その理由としては、高度なスキルを持つ人材に対しては労働の時間ではなく成果で評価し、多様な働き方の選択肢を増やすためである、としている。
この法案については各方面から「残業代ゼロ法案」であるとの批判が上がっている。上記の改正理由は建前に過ぎず、本音は残業代を削って人件費を抑制したいだけではないのかという批判である。携帯電話の料金プランをもじって、「定額働かせ放題法案」などという揶揄もある。また、現時点では対象者が限定されているが、今後対象者の年収が引き下げられるなど、適用範囲が拡大されるのではないかとの懸念もある。
この法案が理念通りに運用されれば、短時間で成果を出して早く帰るという働き方もできるようになるというメリットも考えられるが、果たしてそのように上手く行くのか、今後の動向を注意深く見守る必要がある。(鈴木聡志)