高齢者の運転免許保有率は、過去30年間に大きく上昇し、2013年末には70歳代前半の保有率は60.2%まで上昇し、男性では8割を大きく超えている。さらに戦後ベビーブームに生まれた団塊世代と呼ばれる人たちが、いよいよ高齢者講習の対象となる70歳に近づきつつある。70歳代前半の性別・運転免許保有状況を中長期的に推定すると2030年には女性の免許保有者数は2010年の2.8倍となり、免許保有率は8割を超える。ちなみに、これは2010年の男性の免許保有率を上回る。女性・高齢ドライバーが急増することが窺える。
70歳を超えて自動車を運転する人とは、1980年代までは限られたごく一部の男性であったが、それが90年代後半には大半の男性に変わった。そして、21世紀の四半世紀が経過する頃には、ほぼすべての男女が高齢ドライバーになる。すなわち、今後20年以内に男女を問わず大半の高齢者が車を運転する時代になることが確実である。自動車を運転することが大半の高齢者の日常生活に組み込まれることは、まさに画期的な社会変革と言える。また、それに伴う新たな問題も発生するわけであり、21世紀の重要な社会問題になってくると言える。(所正文)